【薬以外で対策】生理前のPMSによるイライラ・落ち込みに。
健康
2025年10月13日
5分

【薬以外で対策】生理前のPMSによるイライラ・落ち込みに。

心を整える「お守りアロマ」の科学

はじめに

わけもなくイライラしたり、突然涙が出そうになったり、普段なら気にならないことにひどく落ち込んだり…。月経前になると決まってやってくる感情の波は、月経前症候群(PMS)の中でも特につらい症状の一つです。多くの女性がこの「心の不調」に悩まされており、日常生活や人間関係に影響を及ぼすことも少なくありません。

このような感情の起伏は、単なる「気のせい」ではなく、月経周期に伴うホルモンバランスの変動と、それに伴う脳内の神経伝達物質の変化によって引き起こされる、科学的な根拠のある現象です。

幸いなことに、植物の香りの力、すなわちアロマテラピーが、このデリケートな時期の心を穏やかに整える手助けとなることが、近年の研究で明らかになってきています。本コラムでは、PMSによる精神的な不調のメカニズムを解き明かし、心を整える「お守り」となる精油を科学的根拠とともにご紹介します。

なぜPMS期は感情が不安定になるのか?ストレスホルモンと幸福ホルモンの関係

PMS期の心の不調には、主に二つの重要な脳内物質が関わっています。

1.コルチゾール(ストレスホルモン)の増加: PMS期は身体的にも精神的にもストレスを感じやすい状態にあります。ストレスを感じると、脳は副腎皮質からコルチゾールを分泌します。このコルチゾールが過剰になると、不安感、イライラ、気分の落ち込みなどを引き起こすことが知られています¹。

2.セロトニン(幸福ホルモン)の減少: セロトニンは、精神を安定させ、幸福感をもたらす重要な神経伝達物質です。月経前に女性ホルモンであるエストロゲンが急激に減少すると、それに伴いセロトニンの分泌も低下してしまいます。セロトニンが不足すると、気分の落ち込み、不安、衝動性、疲労感などが現れやすくなります²。

つまり、PMS期の感情の波は、「ストレスホルモンが増え、幸福ホルモンが減る」という、脳内で起こる化学的な変化が大きく影響しているのです。

心の不調を科学的にケアする精油たち

アロマテラピーは、このコルチゾールとセロトニンのバランスに働きかけることで、PMS期の精神的な不調を和らげる可能性を秘めています。

実践!感情の波を乗りこなすセルフケアアロマ

イライラや不安を感じた時に、すぐに実践できるアロマの活用法です。

  • お守りアロマスプレー: 精製水45mlと無水エタノール5mlに、お好みの精油(ベルガモット、クラリセージなど)を10滴ほど加えてよく混ぜ、スプレー容器に入れます。気分が乱れそうになった時に、自分の周りの空間にシュッと一吹きするだけで、即席のアロマ空間が作れます。
  • ハンカチ・ティッシュでの吸入: 最も手軽な方法です。ハンカチやティッシュに精油を1滴垂らし、ゆっくりと深呼吸します。仕事の合間や移動中でも、人目を気にせずに行えます。
  • アロマシール: 皮膚に貼るタイプのアロマシールは、香りが長時間持続し、自分だけに穏やかに香るため、外出先でのケアに最適です。胸元やマスクの外側などに貼っておけば、一日中「お守りアロマ」として寄り添ってくれます。

まとめ

PMSによる感情の波は、あなたのせいではありません。ホルモンバランスの変化という、身体の自然なリズムの一部なのです。そのことを理解した上で、科学的にも効果が期待される精油の力を借りて、自分自身を優しくケアしてあげましょう。

ベルガモットでストレスを解放し、イランイランで幸福感を満たし、クラリセージで深い安らぎを得る。あなただけの「お守りアロマ」を見つけることが、毎月のつらい時期を、もっと穏やかで快適なものに変えるための、確かな一歩となるはずです。

参考文献

1.Adam, E. K., et al. (2017). Diurnal cortisol slopes and mental and physical health outcomes: A systematic review and meta-analysis. Psychoneuroendocrinology, 83, 25-41.

2.Eriksson, E., et al. (2006). The role of serotonin in premenstrual dysphoric disorder. CNS Spectrums, 11(S9), 21-27.

3.Pasyar, N., Rambod, M., & Araghi, F. (2020). The effect of bergamot orange essence on anxiety, salivary cortisol, and alpha amylase in patients prior to laparoscopic cholecystectomy: A controlled trial study. Complementary therapies in clinical practice, 39, 101153.

4.Zhang, N., et al. (2016). The anxiolytic effect of essential oil of Cananga odorata exposure on mice and its effect on the 5-HT and DA system. Journal of Ethnopharmacology, 177, 58-63.

5.Lee, K. B., et al. (2014). Changes in 5-hydroxytryptamine and cortisol levels in menopausal women after inhalation of clary sage oil. Phytotherapy Research, 28(11), 1599-1605.